
こんにちは。現役探偵のゴリスケです。
今日の探偵ブログは、「【逃走防止】家出人の確保は、メニューを注文をし席に着いてから」をテーマにお送りします。
前回の記事で、「家出人を発見した探偵が寝床を判明させ【秋葉原は家出人の聖地】」までお伝えしました。
今回はその続きとなりますが、その記事を見なくても話の筋に問題はありません。
↓ ↓ ↓ 参考
さて、28歳の息子さんを発見した我々探偵は、依頼者である50代後半の両親と合流し、今後の作戦について合意しました。
言い方は悪いですが、「家出人の捕り物計画」での合意です。
簡単に言うと、家出人の息子さんが宿泊先のインターネットカフェから出てきた場合でもこの場所での確保は行わず、次の店舗で朝食をとると思われるため、そこまで泳がせる作戦です。
【次の店舗まで泳がす理由】
次の店舗で引き合わせ(確保)ができれば、まさかネットカフェから張り込みをされたとは思わないでしょうから、探偵の存在が頭に浮かばない可能性がより高くなります。
これは今後のために重要です。今後の家出の可能性を少しでも考慮するならば、
「探偵によってゆうじさんの居所が分かった」
ということは隠し通したほうが良いのです。
そうじゃないと次回の家出計画が、より周到かつ狡猾かつになってしまうので。
さあ、時刻は朝の8時。
もういつ家出人(依頼者にとって息子さん)が出てきてもおかしくない時間です。
ネットカフェから出た息子を見た母親は作戦をすっかり忘れ
8:10分。ネットカフェから家出人(対象者)が出てきました。
そして、間もなく我々の調査車両の前を通過しました。
息子さんで間違いないですね?

少しやせてしまったようです...
そう言うと、調査車両の後部ドアを開けて降りようとした。
対象者の母(依頼人)はかなり気が動転しており、今にも息子に駆け寄っていきそうな気配だ。

作戦の通り、次の店までは車から降りないようにしましょう。
僕はミニバンの後部座席に乗っている両親(依頼人)にそう告げてから、車を降りて息子さんを尾行しました。
相棒の探偵は、依頼人である両親を車の後部崎席に乗せたまま、僕が対象者を尾行する少し後方を走行し、距離を取ってついてきます。
もちろん、家出人である対象者は両親や探偵の存在には気づいていません。
昨日もあまり寝れなかったのか、フラフラと眠そうな感じで秋葉原の駅方面へゆっくりと歩行しています。
家出人はやはりマクドナルドが好き【その理由は?】
5分後、昨夜夕食でハンバーガー2個を食べた店に入りました。
そう、また同じマクドナルドに。
本当にマックが好きなんですね。
もちろん家出をしている身なので、お金を節約したいという気持ちもあるのでしょう。
僕はこれまでも「幾多の家出人の調査」に関わり、その行方を尾行してきましたが、家出人は本当にマクドナルドによく行きます。
経験則からそう言えますね。
家出人がマックを好む理由は何点かあるのですが、
お金に困窮しがちな家出人には、値段がリーズナブルなのはありがたいはずです。
だって、ハンバーガーが単品で110円ですからね。
・第二に「営業時間が長く時間をつぶせる」
コロナ禍前は24時間営業のマックも多かったので、深夜でも早朝でも時間をつぶしている家出人を数多く見てきました。
今でも11時前に営業してない店が多い中、その前の時間でもマックであれば気兼ねなく入れます。
・第三に「充電ができる」
これも大きいですね。家出人にとってはスマホの充電は死活問題です。
最近では、ゲーム機を充電している家出人の姿を見ることも多くなりました。
任天堂スイッチとかですね。時代も変わりましたね。
これら主に3点が、家出人がマックを利用しがちである理由です。
探偵であれば皆同意してくれるでしょう。
だから、探偵は家出人捜索の調査ではマックの店内を巡回して、対象の家出人がいるかどうかを探索するのですね。
しかも、捜索のエリアが絞られていれば一回だけの探索ではなく、何度も何度も時間帯をずらして探索するものです。
そうして、深夜にはいなかったが、早朝のマックでウトウト寝ている家出人を発見したことも何度かあります。
探偵もやはり、刑事のように足を使って対象者を捜索することが多いのですね。
もちろんインターネットの発達により、SNS関係等のネット調査も並行して行います。
でもいつの時代も、探偵にとっては現地で足を棒にして動くということは、依然重要なままです。
さて、家出人がマクドナルドに入ったからと言って、すぐに両親が駆け込んではいけません。
それはなぜでしょうか?
【逃走防止】家出人の確保は、メニューを注文をして「席に着いてからが理想」
この場合僕は、息子さんがマックのレジで商品の注文をして席に着くまでは、依頼人であるご両親を店舗内に入れないようにしました。
なぜ?
それは、注文前に両親が店内に現れて声をかけてしまうと、家出人が驚いて逃げてしまうことがあるからです。
逃走ってやつですね。
しかも、走って両親から逃げることもあります。
今まで、探偵としてそのような光景は何度か見てきました。
予期せず依頼人が現れたことに気が動転して、意外にも「逃げるという行動」をとってしまうのですね。反射的に。
もちろん、家出の後ろめたさもあるでしょう。
また、「本当に会いたくない相手」が来たら逃げてしまうということもあります。
でもこの場合、両親と息子さん(家出人)の関係は悪くはなさそうだったので、探偵としては、「息子さんが驚いて逃げてしまう可能性」を極力減らしたかったのです。
確保するには、注文後に席に着いてからが理想です。
目の前に食事があって着席していれば、予期せぬ事態にびっくりしたとしても逃走の可能性を軽減できます。
以下は、事前の打ち合わせで依頼人(父)に教えたとおりのセリフです。
依頼人(父親)は冷静に、その通りのセリフを言ってくれました。
素晴らしいです。
父親はマックの店内の2階まで階段を上がると、息子のゆうじ君に近づいて声をかけます。



そうしたら、さっきこの店に入るのが見えたから...
本当に秋葉原にいて驚いたよ。


こんなに瘦せちゃって、いったい何があったのよ?・・・・・・
こーんな感じで、ゆうじ君は逃走を図ることもなく、落ち着いて両親と対話しています。
探偵としては、ほっとしました。
両親との対話の詳細は割愛しますが、「家出の原因は会社に行きたくなかったから」だといいます。
とてもいけ好かない上司がいたんだとか。
仕事に行くたびにそれで嫌な思いをしたり、その上司にからかわれたりするのが「ストレスでしょうがなかった」と言います。

って思いました?
でも、いろんなしがらみがあったりすると、「退職っていう決断と手続き」がおっくうだったりもするようですね。
ゆうじ君の仕事場は、実はお父さんの紹介で入社した経緯があって、辞めるとは言いづらかったとのこと。
なんかかわいそうですね。
でも結局、「1週間の家出」だけで済んだのは良かったとも言えます。
中には、仕事がいやでいやで仕方がないのに、しがらみがあって辞めることができずに自殺を選んでしまう家出人もいるのだから。
悲しいことですが、探偵をやっていると家出人が遺体で発見されることも多くあります。
そんな時は本当につらくなりますよ。
依頼人の生の声が聞こえますからね。電話越しでももちろん泣き声や悲壮感は伝わります。
そこが探偵という職業のつらいところでもあります。
親子が冷静に会話しているので、探偵は店を出て張り込みを行う
時間は経過し朝9時を過ぎましたが、両親と息子は冷静に会話ができているようです。
僕は、これまでは近くの席で客を装い、「親子から流れてくる会話」を聞いていましたが、もうその必要はないでしょう。
店の外で張り込みをすることにしました。
何で張り込みなんてするの?
そう思うのも無理はありません。
もう両親に無事引き渡したのだから、探偵は用済みと思うでしょう。
でも、これがまだ油断できないんです。
この後の話いかんでは、まだゆうじ君が1人でどこかに行ってしまう可能性があるからです。
それを踏まえて、探偵は以下の3パターンを見極めます。
よって、張り込みと尾行調査は継続します。
- 両親との話し合いが決別し、けんか別れする。
- 両親とは落ち着いて話し合いできたが、まだ家に帰るまでの合意には至らない。
- 話し合いが成功し、両親と一緒に家に帰る(両親の車に乗る)
①の場合は最悪で、マックからいきなり走って逃げてしまう可能性があります。
その場合は、探偵は可能な限り尾行を継続します。
また立ち回り先やその日の宿泊先を把握しなければなりません。
だだし!
この場合、ゆうじ君は両親が後を追ってこないかを何度も振り返って確認するので、探偵が気づかれずに尾行することは困難です。
探偵だって、成人した家出人を確保することなんて許されないのですから、「バレないように尾行する」。これしかできないのですから......
②の場合は、まだマシです。
合意により家に帰らないという選択をして決別するのですから、ゆうじ君の警戒はそれほど強くはならず、探偵が尾行できる状況であることが多いです。
願うべくは③です。
探偵は心からこのパターンを願っています。
探偵としての経験上、大抵はこのパターンが多いのですが、それを見届けるまでは安心できません。
僕は相棒の探偵と共に、油断なくマックの出入口の張り込みを行いました。
家出人対象者は、両親にそれぞれの腕を掴まれて出てきた
9時15分。
3人が一緒に店から出てきました。
落ち着いています。
良かった。僕たち探偵はその光景を見てなんだかホッコリしてしまいました。
どうしてかというと、「家出した息子さんを中心として横一列」で出た来たからです。
お父さんは息子の左手と手を繋ぎ、お母さんは息子の右手を手を繋いでいますw
「絶対に逃がさない」という覚悟が見て取れましたね。
息子28歳。
50代後半の両親に挟まれて手を繋いで歩くということは......
こんな時でもなければ経験できないでしょうw
もちろん息子は、顔を真っ赤にして照れつつ苦笑いをしていましたが、それでも僕にはなんだか嬉しそうな顔に見えました。
両親が見つけに来てくれて、幸せを感じていたのかもしれません。
そして、
マックを出た父親は、店のそばで張り込んでいる僕を見ると、軽く会釈をしました。

って事前にあれほど言ったのに、やってしまうのですね。
息子さんに探偵の存在を勘づかせてはいけないのに。
そう思いながらも、「嬉しそうな顔で依頼人に会釈」された僕は、反射的に軽く会釈を返してしまった。
僕も探偵としては、まだまだですね( ´∀` )
「家出した息子の捜索と発見、そして引き合わせ(確保)」についてのお話でした。
この話は、予期せずにして長編(1話~5話)になってしまいましたが、最後までご覧いただき本当にありがとうございました<(_ _)>
※以下にリンクを記します。
【1話目】病院で張り込んで家出人(調査対象者)を待ち受ける探偵話
【2話目】家出人(対象者)を発見した探偵はしばらく泳がせて行動を把握する
【3話目】【秋葉原は家出人の聖地】秋葉原のネットカフェの店員は口が堅い
【4話目】探偵は家出人の宿泊当日は引き会わせない【その計画とは?】
【5話目】【逃走防止】家出人の確保は、メニューを注文をし席に着いてから
※本記事です<(_ _)>