「探偵のクセにウンコなんかフンでんじゃねーよ」って怒鳴られた話

こんにちは。探偵ゴリスケです。
探偵として20年以上暗躍中です。

得意技は張り込み・尾行。
尾行調査は何歳になっても楽しいものですよ。

さて、今回は「探偵のくせにウンコなんかフンでんじゃねーよ」ってマジ切れされたお話しです。

この記事を読めば、探偵ゴリスケがどんな人間なのか、人となりがわかってもらえると思います。

まったくクソの役にも立たない記事かもしれませんが、人によってはクソの役には立つかもしれません。

第1章:「探偵のクセにウンコなんかフンでんじゃねーよ」って怒鳴られた話

突然ですが、あなたはウンコを踏んだことがありますか?
もちろんありますよね?

誰もが一度は通る道。
いわば大人への階段。

犬のウンコふみ。

でも、こんな風に怒鳴られたことはないでしょう?

先輩探偵
「探偵のくせにウンコなんかフンでんじゃねーよ!!」

僕はあります。
そして、犬のウンコを踏むと他人に怒鳴られるということを、この時までは知る由もなかったのです。

第2章:新米探偵だった探偵ゴリスケ:20代の夏にウンコ踏んだ

僕の探偵としての新米時代と言ってよいでしょう。
あれは20代前半の真夏でした。

まだ、対象者を尾行することに夢中になりすぎて、他のことには気が回らない不器用でがむしゃらな頃でした。
もちろん、僕にもそんなかわいい頃がありました。

不器用でがむしゃらですから、対象者にまかれないように尾行しながら同時に対象者の撮影をし、さらには対象者が立ち回った店舗情報をメモするなんていう同時タスクなんてできるはずもなく、この時ウンコを踏むことはある意味必然でした。ウン命?

そいつと出会ったのは、駅ちかの商店街でした。

ゴリスケ
ふつう、商店街に犬のウンコが仕掛けられているなんて思いますか?

人ごみの中、僕は人を避けつつもウンコは避けられなかったということです。
まさに「足元がお留守になっていますよ」って状況ですね。

そう、僕の目には純粋に調査対象者しか見えてなかったのです。
純粋で純情な頃ですから←ちっともうまいこと言えてない。

ゴリスケ
ウンコを踏んだ瞬間?

ええ、もちろんわかりましたよ。
あの感触ですもの。

皆さんも一度は踏んだことがある「あのウンコ」ですからね。
なんというか、あの感触は気づかないほうがどうかしていますよ。

ムニュムニュってね。

ゴリスケ
しまったーっ!尾行中にウンコ踏んじまったわい!

って思いましたよ。純粋にね。純情ですからこの頃は。
ウンコ踏んだだけでも大騒ぎですよ。

そんな僕をよそに、対象者は駅に向かってぐんぐん進んでいきます。

そうだ、ぼくにはウンコをぬぐっている時間なんてない!

ぼくは尾行を継続しなければなりません。
「僕はまかれません。」事務所で怒られるから。

第3章:電車での尾行:半密室だから臭い

やがて対象者は電車に乗った。
東京都内の地下鉄を慣れた足取りで進み、何度か乗り換えた。

ゴリスケ
におい?

そりゃありましたよ。
真夏ですから。

 皆さんご存じでしょうか?
真夏のウンコを踏むと、ただではすまないということを。

電車内がね、香るんですよ。

「プーン」ってね。

これは案外盲点だと思います。
人はウンコを踏んだ後はすぐに対処するものです。普通はね?

水で洗ったり、土を踏んで可能な限りウンコを排除するべく努力するとか、それが普通の人です。

でも、尾行中の僕に果たしてそんな時間があったでしょうか?
否。

僕はただ尾行するだけ。探偵だもの。
ウンコはこの際、二の次だ。

「後でキッチリ落とし前つけてやるから待ってろよ? このウンコ野郎」ってね。

尾行中の僕はまさに「ウンコ野郎」といって過言ではなかったでしょう。
夏の電車内は特に香ります。

ゴリスケ
半密室だもの。

この匂いはターゲットにだけは嗅がせてはならないと思いましたね。
目立ってしょうがないから。

だから、僕はターゲットの隣の車両から常に様子を窺うことにしたんです。
ええ、僕と同じ車両に乗り合わせてしまった人は不運でしたよ。

いや、あるいはウンがあったというべきか.....強運?

第4章:原宿はオシャレだが探偵は臭い

そんなこんなで無事(?)、原宿駅までたどり着きました。
浮気調査のターゲットは20代の女性でしたから、
オシャレな街に来たかったのでしょうね。

僕?
そりゃ思いましたよ。

ゴリスケ
こんなオシャレな街にこんなウンコ野郎がいてもいいのか?

ってね。

でも仕方ないじゃない。
依然として僕には、ウンコをぬぐっている時間などなかったのだから。

そんなことを考えていると、対象の彼女は竹下通りの入口の辺りで40代後半の男と合流しました。

ゴリスケ
ははーん、こりゃパトロンだな(表現が古いw)

やがて禁断の二人は、竹下通りから少し外れた道沿いにある「いかにもオシャレな洋食店」に入っていった。

時刻は昼時だ。
張り込み場所は日陰がなく、僕はしかたなく炎天下で立張り(立ってする張り込み)をしていた。

第5章:【先輩探偵】高橋が異臭に気付く:怒りはゴリスケに

真夏に立張りをする探偵は、猛暑のせいで意識が遠くなりそうだ。

ゴリスケ
ああ、早く先輩来ないかなー......

一時間もすると探偵事務所の先輩が調査車両で合流した。
高橋さん(仮名)は30歳で、探偵経験は8年の中堅だ。
※後述するがちょっと嫌な先輩だ。

助かった。これで涼しい車の中から張り込める。
僕はすぐに高橋さんの調査車両に乗り込んだ。

ゴリスケ
高橋さん、あの店に対象と相手の男が入っています。
男とは竹下通りの入口で接触しました。特徴は...

すると、高橋さんが僕の説明を遮った。

先輩探偵
くさっ!? なんか臭くねーっ!?

ぼくは暑さで意識がもうろうとしていたが、この言葉で我に返った。

ゴリスケ
ああ、それ多分ぼくです。すみません。
尾行中に犬のウンコ踏んでしまって......

この言葉に、先輩の顔がみるみる強張るのがわかった。

本気でキレられた新米探偵。このウンコごとはジョークなのか?

悪徳探偵
バカ野郎! 探偵のクセにウンコなんかフンでんじゃねーよ!!

このとき僕はあっけにとられてしまった。
言葉も出ない。

まさか、ウンコを踏んだことでこんなにも怒鳴られるとは想像もしていなかったから。

いや、待てよ。ここは笑うべきか...
あるいは、「ウンコ」と「フンだ」をかけているのか?

よく考えたら、「探偵のクセに」というのは「くせー」ともかかっているようだ。

先輩なりのジョークなのか?

「わーはっは!先輩面白いですね」って言ってやるべきか?
いや、高橋さんは本気で怒っているように見える。

先輩探偵
あのなあ、探偵ってやつは、360度見まわせるやつがなる職業なんだよ。
観察力と集中力でな。

360度見まわせるやつがウンコ踏むか?いや、踏まないね。

それは、お前がまったく探偵として未熟な証拠なんだよ!

このとき僕はまだ子供だったのだ。
でなければ、こんな風に言い返すことなどなかったろう。

第6章:若いゴリスケの逆襲

ゴリスケ
先輩、すみませんでした。
まさか、「犬のウンコを踏むと探偵失格」だとは夢にも思わなかったんです。

僕はてっきり、ウンコを踏みつつも対象者をここまで追った気迫に対して、「もしかしたら褒められるかもしれないな」って、そんな風に思っていました。
浅はかでした。

先輩探偵
お前、謝る気ねーだろ!?
新米が「気迫」とかなんとか言ってんじゃねーよ!
10年早いわっ!

ゴリスケ
先輩、生意気なこと言ってすみません。
でも、そんな回りくどい言い方なんてしないで、素直に言ってくれればよかったのに。

先輩が息をのむのがわかった。

ゴリスケ
先輩の車にウンコ踏んだクツなんかで乗ってきたのが気に障ったんですよね?
わかります。それは申し訳なかったと思います。
そういうことですよね?
 事は真夏の車内だ。先輩自慢のオデッセイの中は激しく香っている。いや臭っている。
プーンってね。

そんな状況だったので、先輩はこれ以上の言い争いを避けたのかもしれない。

先輩探偵
もういいっ!
今すぐあし洗ってこい!

ゴリスケ
わしゃヤクザか!? それに洗うのはクツな?

とは言えなかったw

僕は足早に原宿の雑踏に紛れ、オシャレな飲食店のオシャレなトイレに入ると、一生懸命靴を洗った。
戻った時、先輩がこれ以上怒らないように。

若気の至りだ。
淡く儚い青春の時代だった。

第7章:あとがき:うんこキラーとは

先輩探偵の高橋さんは、探偵仲間からとても嫌われた存在であった。
「下に厳しく上にはごますり上手」の典型的な人だったから。

今では生きているのか死んでいるのかさえ分からない。
ある事件をきっかけに探偵業界から消えてしまったから。

とは言え、僕は業界の先輩に対してこのような言動を取るべきではなかったとも思う。

後日、僕はこの時の話を広く同僚の探偵に広めた。
「ウンコキラー高橋」誕生の瞬間であった。

本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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